こんにちは、本日はいままでと毛色が違いますが、投資について、個人の考えをぶちまけていきます。なお投資に関してど素人でして、間違いが多々あるかもしれませんので、予めご了承ください。
老後2000万円問題が騒がれて久しいですが、老後のために長期積立投資をしていこう的な話があります。自分も毎月少しづつ積立をしていますが、長期投資がなぜ安全なのかをすこし確率論を使って説明していきたいと思います。
確率論は現代的な立場では測度論的に記述されているので、本項もそこに倣いますが、ぶっちゃけ形式的なところのみなので、適宜読み流してもらってかまいません。
さて、\( (\Omega,\mathcal{F},P )\)を確率空間とし、\(\Omega\)上の確率過程\(\{X_t\}_{t\in\mathbb{R} }\)を
\[
X_t:\Omega\times \mathbb{R} \ni \omega \times t \rightarrow X_t(\omega)\in \mathbb{R}
\]
とします。確率変数\(X_t\)の期待値\( r_t \)は
\[
r_t\equiv E[X_t] = \int_{\Omega} X_t(\omega)P(d\omega)
\]
分散\(V_t\)は
\[
V_t\equiv E\left[ X_t^2\right]-E[X_t]^2
\]
となり、標準偏差を\(\sigma _t= \sqrt{V_t}\)とします。
さて確率過程\(X_t\)をある資産価格の時間変化としてみます。
投資の世界では、期待値をリターン、標準偏差をリスクと呼びます。つまりリターンが\(r_t\)、リスクが\(\sigma_t\)となります。
※標準偏差がリスクというのは少し違和感があるかもしれませんが、金融や投資の世界では資産価格はなるべく変動してほしくないという考えから、変動すること自体をリスクとみなします。偶然予想以上に資産価格があがったとしても、これはリスクになります。
ここでひとつの指標を導入します。いわゆる「シャープレシオ」です。これは
\[
S_p \sim \frac{r_t}{\sigma_t}
\]
で与えられるもので、この値が高いほどリスクあたりのリターンが大きく、振れ幅が小さく着実に増えていくことを意味するので、良い投資先である可能性が高い、となります。
※厳密には無リスク資産のリターンも取り入れる必要がありますが、その影響は小さいので省略されることが多いです。今回も省略します。
さてシンプルなケースで考えてみます。\(r_t = r_0 t\)、\(\sigma_t = \sigma =Const.\)としてみます。例えば、S&P Indexに連動する投資信託を、\(t=0\)にいくらか購入して、ある時刻\(t\)のときの状況を考えるイメージです。S&P Indexのリターンはだいたい年利5% 〜 7%で、リスクはここでは\(\sigma=Const.\)とみなす、という感じです。このとき シャープレシオは
\[S_p= \frac{r_0 }{\sigma}\times t \propto t\]
となります。つまり時間に比例するので、「多少リスク\(\sigma\)が大きくとも、長い時間資産を保持しているとシャープレシオの値は大きくなり、安定する」ことがわかります。
リスクも時間に依存するのが普通ですが、リターンと比べるとその依存性は小さいので、シャープレシオはリターンの時間依存性が支配的になる形となります。上のシンプルなケースはかなり乱暴な近似と思われるかもしれませんが、意外と悪くない近似になります。
このあたりちゃんと解析するには、かなりがっつりめの確率過程論に踏み込む必要があるので、本日はこれくらいにしておきますが、考え方としてはこんな感じです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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