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関数解析 コンパクト作用素のメモ

ちょいと自分の勉強がてらコンパクト作用素についてまとめてます。間違いなど指摘いただけると大変助かります。

コンパクト作用素は直感的には有限次元に近いタイプの作用素。いわゆる有限次元の行列とかを拡張したようなもの。

Def. コンパクト作用素
ヒルベルト空間\(\mathcal{H}\)上の線型作用素全体を\(\mathcal{B}(\mathcal{H})\)で表す。\(A\in \mathcal{B}(\mathcal{H})\)で像\(\{Ax|x\in\mathcal{H},\|x\|\leq 1 \} \)がノルム位相で相対コンパクトになるとき、\(A\)をコンパクト作用素という。
(from 日合,柳、ヒルベルト空間と線型作用素)


定義の補足)
・ノルム位相であるが、ヒルベルト空間上のノルムは、内積\(\langle \cdot \ , \cdot \rangle\)から誘導されるノルム\(\|x\|\equiv \sqrt{\langle x , x \rangle}\)で与えられ、\(\|x_n-x\|\rightarrow 0\)となる位相である。
→位相空間を\((X,\mathcal{O}(X))\)とおくと、開集合\(U\in\mathcal{O}(X)\)は、\(\forall u\in U\)に対して、\(\exists r >0\)が存在して、\(\{x | \|x-u\| < r \}\subset U\)を満たす集合である。

・相対コンパクトとはその閉包がコンパクトになることである。位相空間を\(X\)とする。\(C\subset X\)がコンパクトであるとは、\(X\)の開集合による任意の被覆\(C=\bigcup_\alpha U_\alpha\)に対して、有限個の部分被覆が存在するとき、\(C\)はコンパクトであるという。

・\(Ax\)の閉包を\(\overline{Ax}\)と表記すると、\(A\)がコンパクトであれば、\(\overline{Ax}\in \mathcal{H}\)が有限個の開集合で被覆できる、つまり\(\overline{Ax} \subset \bigcup_{n=1}^{m}U_n \)となる。

・さらに、ヒルベルト空間\(\mathcal{H}\)は、それ上のノルム\(\|x\|\equiv \sqrt{\langle x , x \rangle}\)に関して距離空間になる。(バナッハ空間も同様。)したがって、コンパクト性と点列コンパクト性は同値になる。点列コンパクトは任意の有界点列が収束部分列をもつことであったから、点列\(x_i\in\overline{Ax} \)が収束する部分列をもつことと同値になる。

したがって
「ヒルベルト空間\(\mathcal{H}\)上の線型作用素全体を\(\mathcal{B}(\mathcal{H})\)で表す。\(A\in \mathcal{B}(\mathcal{H})\)で、\(\|x\|\leq 1\)上の任意の点列\(\{x_n\}_n\)に対して、\(\{Ax_n\}_n\)が収束する部分列をもつとき、\(A\)をコンパクト作用素という。」
と変換することができる。個人的には、こちらの方がなんとなく直感的にわかりやすい気がする。

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